インタビュー:テラブスCTO ヴィクラム・サクセナ
テラブスCTO、テレコム業界の現状と未来について語る
Q. テレコム業界の現状をどのように見ていますか?
A. 総じて、テレコム業界は不況に強い業界だと思います。人はテレビや携帯電話のある生活に慣れてしまっており、急に利用をやめるというわけにはいきません。そういう意味でもテレコム業界は不景気にそこまで影響を受けずにいられるのだと考えます。
Q. 今後最も注目されるべき最新技術は何でしょうか?
A. テレコム業界にとって、1.インターネット、2.ライフスタイルという意味での携帯性(モビリティ)、3.クラウドコンピューティング、4.コンバージェンス、この4つのトレンドが重要になってくるでしょう。テレコム業界が向き合うこのトレンドを受け入れ、ユーザーをネットワークへ引き込む価値を創り出す必要があります。
まず、インターネット消費者の増加が業界の勢力図を変えました。インターネットからアプリケーションを分離することで、ユーザーはデジタルワールドのかじ取りを手にしました。かつてはプロバイダのソフトウェアに依存していましたが、今では、ユーザーが独自のアプリケーションを作り、主に帯域利用目的でネットワークを使用しています。これにより、サービスプロバイダの収益源構造が変わってきたのです。さらに、Web 3.0といったさらなる進化は、パーソナライゼーションのためのビジネスチャンスを拡大していくことでしょう。
次に、権限を与えられた携帯ユーザーと利用するアプリケーションの数は増え続けています。iPhoneやその他のインテリジェントな端末は、アプリケーションにあったドライバーとして、ネットワークから端末へとバランスをシフトさせることで、スマートフォン現象を引き起こしました。昨今の消費者は、どこのキャリアかではなく、どの端末かで選んでいます。携帯の躍進に限界はありません。だからこそ我々は消費者ニーズのその先にある価値を創り出す必要があるのです。
そして、法人のユーザは柔軟なサービスを求めています。業界は、クラウドコンピューティングや仮想化と呼ばれる大規模な新しいイニシアチブを確立しはじめています。大規模なサーバ設備とそれを支える間接費は、委託先企業へシフトしていくでしょう。企業は社内ネットワークを支えるエネルギーの消費を制限することによって、大幅にコストを削減をすることが可能になります。また同様に、エンドユーザも端末のメモリやハードドライブ、信頼性への依存を軽減することができます。
最後に、コンバージェンスは端末にもアクセスにも依存しないサービスによって実現します。ネットワークや端末に加え、ユーザ体験もコンバージェンスを実現する要素のひとつです。1,600 キロも離れた場所にいる子どもの携帯から送られる孫のサッカーの試合の生中継を観ているおじいちゃん、おばあちゃん。携帯でのチャットのやりとりを、そっくりそのまま自宅のテレビやあなたのコンピュータへシームレスに移して続きを楽しめる、など想像してみてください。
Q. サービスプロバイダにとって次の大きなビジネスチャンスは?
A. 消費者と事業者の両サイドにビジネスのチャンスがあると考えます。モバイルインターネットは新たな種類の消費者を生み出しました。例えば、アップル社のiPhoneは標準的な消費者へ「スマートフォン」現象を引き起こし、全く新しいデジタルライフスタイルの時代を創り出しました。デジタルライフスタイルにおいては、従来のテレコムサービスは「よりきらびやか」でメディアリッチな新しいサービスによって影が薄くなってしまいました。その結果、ユーザは根底にあるネットワークの品質ではなく、端末の機能により大きな影響を受けています。よりメディアリッチなサービスが提供されることで、根底にあるネットワークはよりアプリケーションアウェアになっていかなければなりません。すなわち、ネットワークはアプリケーションのニーズに対応したサービスの品質を提供する必要があります。消費者体験のクオリティを高めることで、サービスプロバイダは自社のネットワーク資産をマネタイズする(お金にする)方法を見出すことができるのです。
事業者サイドにおいては、サービスプロバイダはアプリケーションドメインでの増加する仮想化のトレンドで資本を価値化することができます。アプリケーションが従来のクライアント・サーバモデルからウェブサービスモデルへと移行することで、クラウドコンピューティングの環境においてはさらに多くのアプリケーションを走らせることになります。専用のITインフラコストの削減を実現し、ひいては 変わり続けるビジネス環境下での前例をみない機敏性と柔軟性を提供します。仮想化コンピューティングとネットワークインフラを統合させたキャリアグレードのクラウドサービスによって、サービスプロバイダは大規模なクラウドコンピューティングモデルの導入を加速することができるのです。
Q. サービスプロバイダがインターネットから更なる価値を引き出す最善の方法は?
A. インターネットは、「チャンス」と「脅威」の両面を持っています。それは、業界全体として必要以上のサービスを提供してきました。ネットワークは実に透過的で、それゆえサービスプロバイダの価値命題は目に見えなくなってきたのです。サービスプロバイダは従来のテレコムサービスの領域で展開されてきたようなユーザ体験を有していません。だからこそ、サービスプロバイダにとって、エンドユーザやアプリケーションプロバイダへ下層ネットワークの価値をより見えやすくすることが、最も大きなビジネスチャンスであり課題なのです。Web 3.0技術のようなイノベーションがインターネットの新しいミドルウェアを創りだし、アプリケーションとネットワークをより密接にします。インテリジェントなセッション管理ミドルウェア技術を導入することで、サービスプロバイダは個々のライフスタイルに合わせた、高度にパーソナライズされたサービスを提供することができるでしょう。現状では効果的に行われていませんが、アプリケーションプロバイダはターゲット層に照準を合わせることができるようになります。
Q. Tellabsは数年先を見据えたテクノロジーのビジョンにフォーカスしていますが、最大のハードルは?
A. リスクを管理しつつ、どう長期的投資を行っていくのかを紐解くことが課題であり、非常に難しい課題です。今日何が起こっているのかを熟知していることだけではなく、我々の業界の身の振り方も変えるかもしれない大きな障害を知っておく必要があります。静的な戦略ではいけません。業界で起きている重要な変化とともに進化していかなければなりません。私は業界全般と、何らかのかたちで業界を形成する大きなテーマでのキーインを広く見る傾向にあります。これらのテーマに投資し、そのテーマの基にある価値を提供できるプラットフォームを創りだすことで、事業の成長を成し遂げることができると考えています。
Q. テレコム業界でのグリーントレンドは定着しますか?業界に与えるインパクトは?
A. 将来の着地点を予測するには段階が早すぎる現象ですが、我々が環境を意識し、市場の需要にあわせてグリーントレンドを取り入れていくことは我々にとっても非常に重要です。
Q. 次の3~5年にかけてのプロフェッショナルサービスが担う役割は?
A. プロフェッショナルサービスについてポジティブに見ています。例えば、注目されているSaaSは現在、その多くがサービスプロバイダではなくエンタープライズのお客様を対象に提供されています。しかし、SaaSはサービスプロバイダの領域にも同様に、今後の数年で実を結ぶチャンスがあると考えています。
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